おと

「わたし。もうすぐ死ぬの。」
珍しくいもがこっちのベッドにもぞもぞ入ってくる。
「死ぬのはパパだよ。」
「わたし…。毒を飲んだの。」
「知ってる。飲んで4時間程度で眠くなり、6時間以内に呼吸中枢が麻痺して窒息死する。」
「うん…。」
「もう6時間は過ぎたよ。いもは死んでないし寝てもいない。」
「…。」
「いものお茶はパパに飲ませた。死んだのはパパだよ。」
「えーーーーーーー~~~~っっ!!!!」
いきなりいもが僕を突き飛ばし、床に落とす。

「バカ!バカバカバカ!おとのバカッ!」
自分も床に降りてきながら僕を罵る。
「あんなひどい親よりもいものほうが…」
いもは聞きもしない。そこらにあるものを闇雲に拾っては投げてくる。
痛いよ…

…………………………

母の悲鳴が聞こえた後ややあって廊下をドタドタ走る音が聞こえた。
ぼくは泣きじゃくるいもをつれてあとを追った。